品龍寺ブログ
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NHK総合毎週月曜日午後1025分に放送している

 

「プロフェッショナル仕事の流儀」

「仏教界の革命児」とも呼ばれる僧侶、

髙橋卓志さんが出演されました。

プロフェッショナル 仕事の流儀「生老病死、四苦に立ち向かう~僧侶・高橋卓志」

 

「寺よ、変われ」 (岩波新書)という高橋さんの本を読んで共感でき、

感化された部分があったこと、龍谷大学の先輩であることもあり

前々からとっても楽しみにしていました。

 

 

もうひとつの理由

 

私が築地本願寺で働いていたころ、「寺カフェ」という試みをやっていました。

 お寺に隣接するカフェでお客さんの相談を聞いたり、雅楽の演奏をしたりして、

 お坊さんに親しんでもらおうという企画です。

 

そんな時、某番組から取材依頼がありました!!!

 「いろんな試みをしている若いお坊さんの仕事ぶりをテレビで紹介させてください」 と。

私は、一生懸命お話しました。自分が思っていること、これからやりたいこと、

 誠意をもって一生懸命お話しました。

 

が・・・、結局放送はされませんでした() 

とても悔しく残念な思いをしたことを今でもはっきりと覚えています。

 

だからこそ、同じ僧侶という立場のかたが出演する今回の「プロフェッショナル」

はとても楽しみにしていました。

 

 

 

 

その人らしい葬儀 

番組で紹介されていた高橋さんのような葬儀は私が目指しているものでした。

高橋さんの葬儀のやり方は、

 

 ・葬祭業者を入れずに自分で祭壇を作る

 

 ・その人らしい葬儀をする

  床屋のおじいちゃんの葬儀には自分が最後のお客さんだと

  その床屋の椅子に座って葬儀をする

 

・葬儀の前日には必ずどんな人だったかを聞き取る

  聞き取っていく中で遺族の苦しみや後悔を吐き出してもらう

 

・聞き取った内容と遺族に借りた写真を使い葬儀の前に故人の生前の映像を流す

 

というものでした。番組を見ていて

感情移入してしまい、思わず涙がこみあげてきました。

私が、

「お経や葬儀の意味をしっかりと伝える、

   その人らしい葬儀をしてご遺族の方とお見送りしたい。

 ご遺族のかたの苦しみ悲しみに寄り添い少しでも前向きになってほしい」

と漠然と思っていたことを、実践しておられ、

私も今こそ真剣に取り組もうと決意を新たにすることが出来ました。

 

番組を見て、改めて、

 「葬儀で自分が何をすべきなのか」

 「最後にこの人にとってどういうお別れが必要なのかを考えていく」

ということを学びました。

  

 

 

僧侶は何のプロフェッショナルか

私は常に自問自答していることがあります。

 「僧侶は一体何のプロフェッショナルなんだろう?」

「お坊さんは何をする人なのか?」

 「何のためにお坊さんをしているのか?」

 と頭の中で何度も思うようにしています。

  

お寺には必ず住職がいます。

「住職とは何をする人だと思いますか?」

 と聞くと、多くの人は葬儀や法事でお経を読む人と答えると思います。

 または、お寺を維持管理する人、お経、葬式の専門家、仏の教えを伝える…などです。

 職人さんの場合、たとえば陶芸家さんだったら、陶芸器を作ることが専門です。

 美容師さんだったら、お客さんの髪を切って綺麗に、カッコよくしてくれます。

 では、お坊さんの専門は? 

人に聞いても、明確な答えが出てこないのです。

 それだけお坊さんの、お寺の存在意義が揺らいで来ているのかと思います。

 

番組の中で高橋さんが 

『住職とは十の職とも書ける!昔は十の専門家でもあった!

 総合的なコーディネーターとして地域住民から頼りにされていた』

 と語られていました。本当にそうだなと思います。

昔お寺は学校でもあり、遊び場でもあり、病院でもあり、

娯楽施設でもあり、役所でもあった。

コミュニティの中心にあって、落語や歌舞伎などの芸能も

されていましたし、とにかく人の集いの場だった。

 

これからの時代、本当に必要とされるお寺になるためには、

ただ新しいことをやればいいという訳ではなくて、

 

昔のお寺のような人の集まる場所を目指す、原点に戻ること、

 その上で、時代の変化に合わせて、変えるところは変えて、

 守るべきものは守る。

そういうことが必要だなと改めて感じました。

 

 地域社会との連携も重要です。

今までの品龍寺では出来ていませんでした。

 「開かれたお寺」にするために、

地域のNPOと協力することも考えています。

 一緒に何か面白いことが出来たらと思っています

これからも自問自答をし、

勉強し続け

 「悩みや苦しみ、不安なことをお寺という場所を使って、

  軽減し、安心してもらう」

 そんなお寺にしていきたいと思っています。

 

  

最後に

 

高橋さんが最後に言われた

 「プロフェッショナルとは?」の答えは

 『坊さんという宗教的な特権では無くひとりの人間として

  社会に溢れる苦しみを緩和していく』  でした。

 

 

 

 見逃した方へ

 調べてみましたが残念ながら再放送はないそうです。

 どうしても見たい方はお寺にご連絡くださいね。